築40年超でも売れる家、売れにくい家。差をつけるのは「古さ」ではなかった

築40年を超えた家でも売れる家はあります。差をつけるのは古さではなく、駅からの距離と管理の状態。買い手がつく古家の6つの共通点と、売る前にできることを解説します。

築40年以上ですが売れますか?

「築40年以上で、あちこち傷んでいる。こんな家、買う人なんているのかな」



実家や相続した家について、こう感じている方は多いと思います。以前の記事では、空き家は持っているだけで年に約23万〜39万円かかるという試算を紹介しました。「では売ればいいのか。でも、こんな古い家が売れるのか」というのが、今回のテーマです。


・築40年を超える家は、実際にどのくらい売れているのか
・売れる空き家と、動かない空き家では何が違うのか
・古さは変えられなくても、変えられることは何か

空き家の6割は「1980年以前」に建てられた家

まず前提として、空き家の多くはもともと古い家です。

国土交通省が2025年8月に公表した「令和6年空き家所有者実態調査」によると、空き家の約6割(63.2%)が1980年以前に建てられた家でした。相続で受け継いだ空き家に限ると、7割を超えます。

傷みも珍しくありません。外観や室内のどこかに傷みがある空き家は約46%、柱の傾きや雨漏りなど構造上の不具合がある空き家も約20%ありました。

つまり「古くて傷んでいる」のは、あなたの実家だけではありません。空き家ではむしろ普通のことです。問題は、そうした家に買い手がつくのかどうかです。

首都圏の40年超えの戸建てか

築41年以上でも、平均2,105万円で売れている

首都圏(1都3県)で中古の一戸建てが実際にいくらで売れたかを、築年数ごとにまとめたデータがあります。不動産会社が使う物件情報システム「レインズ」を運営する、東日本不動産流通機構の集計です。

2024年の結果では、築41年以上の家の平均成約価格は2,105万円でした。築36〜40年は2,791万円、築31〜35年は2,964万円です。

築年数別成約価格

また、2024年に首都圏で売れた中古一戸建てのうち、築40年を超える家は12.3%。およそ8軒に1軒です。2021年は10.3%だったので、古い家が売れる割合はむしろ少しずつ増えています。

ただし、注意点があります。首都圏は土地の値段が高いため、価格の多くは「建物」ではなく「土地」の値段です。築40年を超えた木造住宅は、建物の価値がほとんど残っていないと見られることも多く、買い手は「土地」や「立地」にお金を払っていると考えた方が実態に近いでしょう。

地方では金額の水準は大きく下がります。それでも、「築40年を超えたら売れない」わけではないことは、データからはっきり言えます。

空き家が動くかは「駅からの距離」と「管理」で差がつく

では、同じ古い空き家でも、動くものと動かないものの差はどこにあるのでしょうか。

先ほどの国土交通省の調査では、2023年10月から2024年12月までの約1年の間に、空き家でなくなった(売れた・貸した・取り壊したなど)割合を、条件ごとに調べています。

空き家が動く条件

・駅から200〜500m未満の空き家は22.7%が解消。2,000m以上は13.9%

・管理が「ほぼ毎日」の空き家は26.1%が解消。「数年に1回」は10.5%

・傷みがない空き家は20.1%が解消。構造上の不具合がある空き家は14.0%

建築時期で見ると、1950年以前の家は14.0%、2011年以降は31.7%で、古い家ほど動きにくいのは確かです。

ただ、ここで注目したいのは「管理の頻度」の差です。ほぼ毎日管理されている空き家と、数年に1回しか見に行かない空き家では、解消した割合に2倍以上の差がありました。建物の古さは変えられませんが、管理は今日から変えられます。

もう1つ、はっきりした数字があります。「売却用」として買い手を募集していた空き家は、約1年で31.4%が空き家でなくなり、その理由の75.8%が「売却した」でした。古い家でも、売りに出せば一定の割合で動いていることが分かります。

売る前の壁は「傷み・買い手の少なさ・家財」


一方で、売りたい・貸したいと考えている人が、何につまずいているのかも調査されています。

売却の課題

課題の上位は「住宅の傷み」43.3%、「借り手・買い手の少なさ」40.3%、「家財などの処理」37.4%、「設備や建具の古さ」34.0%でした。「どうすればよいか分からない」も21.4%あります。

そして、今後5年程度のうちに売る・貸す意向がある世帯のうち、48.4%は「まだ何もしていない」と答えています。

売りたい気持ちはあっても、片付けや相談の一歩目で止まっている人が半数近くいる、ということです。

また、建物ではなく土地の条件で売りにくくなるケースもあります。課題に「再建築不可(道路付けの悪さなど)」を挙げた世帯は7.6%でした。建築基準法では、原則として幅4m以上の道路に2m以上接していない土地には家を建て替えられません。この条件に当たるかどうかは、古家の売りやすさを大きく左右します。

買い手がつく古家の6つの共通点


ここまでのデータを、売る側が確認できるポイントに整理しました。

売れる古家の共通点

1. 立地:駅や生活圏に近い

2. 管理:見回りや換気を続けている

3. 道路:建て替えができる土地である

4. 価格:相場に合わせて決めている

5. 片付け:家財を処分できている

6. 動き出し:実際に売りに出して相談している

1と3は土地の条件なので、あとから変えるのは難しい部分です。一方、2・4・5・6は持ち主の行動で変えられます。

価格について補足すると、買い手が見つからない場合の対応として最も多かったのは「価格を下げる」で45.5%でした。古家は「建物の価値」ではなく「土地として、または手を入れて住む家として」見られることが多いため、最初から相場に合った価格で出す方が、結果的に早く決まりやすくなります。

また、安い物件は不動産会社が扱いたがらない、という声もこれまではありました。2024年7月からは、800万円以下の物件の仲介手数料の上限が引き上げられ(最大33万円・税込)、安い古家でも相談を受けてもらいやすくなっています。

さらに、1981年5月31日以前に建てられた親の家を相続して売る場合には、条件を満たすと売却益から最大3,000万円を差し引ける特例もあります(前回の記事でも紹介しました)。古い家であることが、税金の面ではかえって有利に働くこともあるのです。

まずは「見に行く・調べる・聞いてみる」から


古い家をどうするかは、家庭によって正解が違います。思い出のある家を残したい、いずれ誰かが住むかもしれない、という考えも大切です。

ただ、データから見えるのは、古さそのものより「放っておく時間」の方が売れにくさにつながりやすい、ということです。管理の間隔が空くほど傷みは進み、空き家が動く割合も下がっていました。

決めるのはあとでも構いません。まずは次のようなことから始めてみてください。

・家の様子を見に行き、傷みや家財の量を写真に残す

・家の前の道路の幅と、敷地が道路にどれだけ接しているかを確認する

・近くで似た古家や土地がいくらで売れているか、相場を調べてみる

・不動産会社に「売るとしたら」の査定だけ頼んでみる(売ると決めなくて大丈夫です)

「売れるかどうか」は、調べてみると意外と早く分かります。知ったうえで、残すのか、貸すのか、売るのかを家族で話し合う。それだけでも、今より一歩前に進めるはずです。

__________

■出典

・東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」(2025年2月25日公表)

 数値はR.E.port掲載の記事(三菱UFJ不動産販売「住まい1」に転載)より

 https://www.sumai1.com/useful/plus/news_00675.html

 築40年超の比率はノムコム掲載記事より https://www.nomu.com/news/20250226.html

・東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」(2022年2月25日公表)

 https://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202202.pdf

・国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」(2025年8月29日公表)

 https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000233.html

 報告書 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001907491.pdf

・国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」(2024年7月1日施行)

 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf

・国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

※築年帯別の成約価格と構成比率は、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の中古一戸建ての数値です。価格には土地の価格が含まれます。地方では金額の水準が大きく異なります。

※「空き家でなくなった割合」は、令和5年10月1日時点で空き家だった住宅が、令和6年12月1日時点で空き家でなくなった割合です。理由には売却のほか、賃貸、取り壊し、所有者や親族の入居なども含みます。

※国土交通省の調査は、空き家を所有する世帯へのアンケートを拡大推計したもので、比率を見るための数値です。

※仲介手数料の特例は、売買価格(税抜)800万円以下の土地・建物が対象で、媒介契約の前に報酬額を説明し、依頼者の合意を得ることが条件です。

※3,000万円特別控除は、2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象で、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であること、耐震基準への適合または取り壊しなどの条件があります。相続人が3人以上の場合は1人あたり最大2,000万円です。2026年10月時点の情報です。適用できるかは税務署や税理士に確認してください。

※再建築の可否(接道の条件)は、敷地や道路の状況によって例外もあります。市区町村の建築指導の窓口で確認できます。

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