実家を空き家にしないために。親が元気なうちにしておきたいこと

将来、実家が空き家になりそうな方に向けて、親が元気なうちにしておきたい話し合い、エンディングノート、遺言書の種類と自筆証書遺言書保管制度について解説します。

この記事の要点

「親が元気なうちに、家のことを話すのは気が引ける」。そう感じるのは、親を大切に思っているからこそです。けれども、話し合っておくことは、親の思いを確かめ、将来の家族の負担を減らすことにつながります。

  • 実家の将来について、親が元気なうちに話し合っておくことが、空き家対策の第一歩です。
  • エンディングノートは気持ちを伝えるのに役立ちますが、法的な効力はありません。
  • 遺言書を作る場合は、公正証書遺言が安心です。自筆証書遺言は法務局で保管してもらう制度もあります。
  • 実家は相続人の共有にせず、特定の一人が引き継ぐ内容にしておくと、売却などの手続きが進めやすくなります。

話し合いのきっかけをつくる

いきなり「この家はどうするの?」と切り出すと、親によっては「早く死んでほしいのか」と受け取ってしまうかもしれません。
話を始めやすいのは、介護や医療の話題です。「もし介護が必要になったら、どこで暮らしたい?」「その場合、この家はどうしようか」というように、親自身の希望を聞く流れで、家のことに話を進めてみましょう。
話し合っておきたいのは、次のような点です。

  • 将来、介護が必要になったときに、どこで暮らしたいか
  • 家を誰かに引き継いでほしいか、売ってもよいと考えているか
  • 家の権利証(登記識別情報)や、購入時の契約書などの書類がどこにあるか
  • 家の中の大切な品や、残してほしい物は何か

エンディングノートを活用する

親の希望を書き残してもらう方法として、エンディングノートがあります。法務省や日本司法書士会連合会が、無料で使えるものを公開しています。
ただし、エンディングノートには法的な効力がありません。家を誰に引き継ぐかを確実に決めておくには、遺言書が必要です。

遺言書の種類と選び方

公正証書遺言

公証役場で、公証人に作成してもらう遺言書です。無効になるおそれが低く、家庭裁判所での「検認」の手続きも不要なため、最もおすすめできる方法です。作成には公証人の手数料がかかります。

自筆証書遺言

本人が自分で書く遺言書です。費用がかからない反面、書き方の決まりを守らないと無効になるおそれがあります。財産目録に限っては、パソコンで作成したものや、通帳のコピーを使うことができます(各ページへの署名と押印が必要です)。

自筆証書遺言書保管制度

自筆の遺言書を、法務局に預けておける制度です。

  • 手数料は1件につき3,900円です。
  • 保管された遺言書は、家庭裁判所での検認が不要になります。
  • 用紙の大きさや余白など、様式の決まりがあります。

自宅で保管していると、紛失したり、見つけてもらえなかったりするおそれがあります。自筆証書遺言を作るなら、この制度の利用を検討しましょう。

実家は「共有」にしない内容で

遺言書で実家の引き継ぎ方を決める際は、相続人の共有にするのではなく、特定の一人に引き継ぐ内容にしておくことが有効です。
共有にすると、売却するには共有者全員の同意が必要になります。共有者の誰かが亡くなればその子どもたちに持分が引き継がれ、持ち主はどんどん増えていきます。その結果、売りたくても売れない状態になりかねません。共有のリスクは「兄弟で相続した実家を売るには」でも詳しく解説しています。


話し合いは、家族の思いを確かめる機会

実家の将来について話すことは、決して親を急かすことではありません。むしろ、親がこの家にどのような思いを持っているのかを知る、よい機会になるはずです。
親の希望を聞いておけば、いずれ家を手放すことになったときにも、「親が望んでいたことだから」と納得して決断しやすくなります。


よくある質問

Q. 自筆証書遺言書保管制度の手数料はいくらですか?

遺言書1件につき3,900円です。法務局で保管された遺言書は、家庭裁判所での検認が不要になります。

Q. エンディングノートに家のことを書いておけば十分ですか?

エンディングノートには法的な効力がありません。誰に家を引き継ぐかを確実に決めておきたい場合は、遺言書を作成しましょう。


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ご注意

法律や税制は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わります。実際の手続きや申告の前に、法務局・市区町村・税務署などの窓口、または弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご確認ください。