「しばらくは、このままでも大丈夫だろう」。そう考えて先送りにしているうちに、空き家の状態は少しずつ悪くなっていきます。放置した場合に何が起こるのかを、法律の仕組みとあわせて確認しておきましょう。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は約900万戸にのぼります。このうち、売りに出したり貸し出したりする予定もなく、使い道の決まっていない空き家は約385万戸で、この25年でおよそ2倍に増えました。
使われていない家は、人が住んでいる家に比べて傷みが早く進みます。換気や通水がされず、小さな不具合にも気づきにくいためです。
老朽化が進むと、屋根瓦や外壁が落ちたり、ブロック塀が倒れたりするおそれがあります。
民法では、建物などの設置や保存に問題があって他人に損害を与えた場合、所有者が損害を賠償する責任を負うと定めています(工作物責任)。所有者の責任は、過失がなくても免れることができない、重い責任とされています。「遠方に住んでいて、家の状態を知らなかった」という事情があっても、責任を問われる可能性があるということです。
人の出入りがない家は、不審者が入り込んだり、放火の標的になったりするおそれがあります。
庭木や雑草が伸び放題になったり、ごみが放置されて悪臭や害虫が発生したりすると、近所の方の生活環境を損ないます。地域全体の印象が悪くなり、周辺の不動産の価値を下げることにもつながります。
放置された空き家への対策として、空家等対策特別措置法(空家法)が定められています。そのまま放置すれば倒壊などのおそれがある空き家は、市区町村から「特定空家等」に指定されることがあります。
特定空家等に指定されると、次のような段階で措置がとられます。
なお、法改正により、緊急に危険を取り除く必要がある場合には、命令などの手続きを経ずに代執行ができる仕組みも設けられました。
法改正によって、特定空家等になる前の段階の空き家も対策の対象になりました。これが「管理不全空家等」です。いわば、特定空家等の予備軍です。
管理不全空家等として勧告を受けた場合も、住宅用地の特例が外れます。
住宅が建っている土地は、「住宅用地の特例」によって固定資産税が軽くなっています。小規模な住宅用地の場合、税額を計算するもとになる金額(課税標準)が6分の1になる仕組みです。
勧告を受けてこの特例が外れると、土地の固定資産税が最大で6倍になることがあります。「家を建てたままにしておけば税金が安い」という考えは、もはや通用しなくなりつつあるのです。
国のガイドラインでは、次のような状態が例として挙げられています。具体的な基準は、市区町村ごとに定められています。
いずれの制度も、ある日突然、重い措置がとられるわけではありません。まずは助言や指導から始まります。大切なのは、「どうするか決められない」まま、何もせずに時間が過ぎることを避けることです。
どれを選ぶか迷っている方は、「売る・貸す・管理する、それぞれの特徴と選び方」をご覧ください。
国がガイドラインで判断の基準を示し、それを踏まえて市区町村が地域の実情に応じた具体的な基準を定めています。そのため、細かな基準は市区町村によって異なります。
マンションの一室が空き部屋になっているだけでは、空き家対策の法律(空家等対策特別措置法)の対象にはなりません。ただし、管理費や修繕積立金の支払いは続くため、早めに方針を決めることが大切です。
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空き家は売る・貸す・管理する? それぞれの特徴と選び方
この記事は、一般的な情報をまとめたものです。法律や税制は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わります。実際の手続きや申告の前に、法務局・市区町村・税務署などの窓口、または弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご確認ください。