空き家は売る・貸す・管理する? それぞれの特徴と選び方

相続した空き家を「売る」「貸す」「管理しながら残す」の3つの選択肢について、メリットと注意点を比較し、判断の目安を解説します。維持費を10年単位で考える方法も紹介します。

この記事の要点

「売るべきか、残すべきか」。家族の思い出が詰まった家だからこそ、すぐには決められないものです。それぞれの選択肢で何が起こるのかを知り、自分たちに合う道を選びましょう。

  • 空き家の問題を根本から解決できるのは「売る」という選択です。
  • 「貸す」場合は、家を残しながら収入を得られますが、修繕などの貸主の負担があります。
  • 「管理しながら残す」場合は、年間の維持費を書き出し、10年分で考えると判断しやすくなります。
  • 残す場合も、「3年」「5年」など、いつまでに結論を出すかを決めておくことが大切です。

3つの選択肢を比べる


売る 貸す 管理しながら残す
主な利点 空き家の問題が根本から解決する。管理の負担や固定資産税がなくなる 家を手元に残しながら、家賃収入を得られる。人が住むことで傷みにくくなる 家族の判断を先延ばしにでき、将来の使い道を残せる
主な注意点 家を手放すことになる。売れるまでに時間がかかることがある 貸す前のリフォーム、貸した後の修繕など、貸主の負担がある 固定資産税・保険料・交通費・修繕費などがかかり続ける

売る:根本的な解決になる

空き家の問題を根本から解決できるのは、売るという選択です。売却すれば、管理の手間や固定資産税、近所に迷惑をかけるのではないかという心配から解放されます。
売り方には、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」、自治体の「空き家バンク」を利用する方法などがあります。詳しくは「空き家の売り方5つ」をご覧ください。
なお、空き家が売れない理由として多いのは、「手続きが面倒」なことと、「共有している家族の意見がまとまらない」ことです。裏を返せば、この二つを早めに解決できれば、売却は前に進みやすくなります。

貸す:家を残しながら活用する

家を手放さずに、家賃収入を得られるのが貸す方法です。人が住むことで換気や通水がされ、建物の劣化を防ぐこともできます。将来、自分や家族が住む可能性がある場合には、利点の大きい選択肢です。
ただし、次のような負担があることも知っておきましょう。

  • 長く空き家だった建物は、思った以上に傷んでいることが多く、貸す前に大がかりなリフォームが必要になることがあります。
  • 給湯器や配管など、設備の修繕は原則として貸主の負担です。法律上、貸主には、借主が問題なく使える状態で貸す義務があるためです。
  • 借主が見つからない期間(空室)が生じる可能性があります。
  • 家賃収入は不動産所得として確定申告が必要になる場合があります。

一般的な賃貸借契約(普通借家契約)では、正当な理由がない限り、貸主から契約の更新を断ったり、解約したりすることはできません。将来売却する可能性があるなら、期間の満了で契約が終わる「定期借家契約」を検討するなど、契約の種類にも注意が必要です。

管理しながら残す:費用を10年単位で考える

すぐに結論が出せない場合は、管理しながら残す方法もあります。このとき大切なのは、かかる費用を具体的に把握することです。
年間の維持費として、次のようなものを書き出してみましょう。

  • 固定資産税(都市計画税)
  • 火災保険などの保険料
  • 電気・水道などの基本料金
  • 実家に通うための交通費
  • 修繕費や庭木の手入れの費用

そのうえで、合計を10年分で考えてみます。年間ではそれほどの額に見えなくても、10年分にすると、思いのほか大きな金額になることがわかるはずです。
また、自分たちで使う予定がある場合も、「3年」「5年」など、いつまでに結論を出すかを決めておくことをおすすめします。期限がないと、判断は先送りにされがちだからです。
遠方に住んでいて定期的に通えない場合は、空き家の管理代行サービスを利用する方法もあります。詳しくは「売却までの空き家の管理」をご覧ください。


迷ったら、まず「売ったらいくらか」を知る

どの選択肢がよいかを判断するうえで、大きな手がかりになるのが「売ったらいくらになるか」という情報です。売却額の目安がわかれば、貸した場合の収入や、持ち続けた場合の費用と比べられるようになります。
査定を受けたからといって、売らなければならないわけではありません。判断の材料を集めるつもりで、気軽に確かめてみましょう。


よくある質問

Q. 空き家を自治体に寄付することはできますか?

自治体が空き家の寄付を受け付けることは、ほとんどありません。建物の除却費用の補助や、更地にした土地を自治体に無償で貸すといった例はありますが、一般的な方法とはいえません。

Q. 将来、子どもが住むかもしれないので、残しておきたいのですが。

その場合は、貸すか、管理しながら残す方法が考えられます。ただし、使わないまま年数が経つと建物の傷みが進むため、「いつまでに使うかどうかを決める」という期限を設けておくと安心です。


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ご注意

法律や税制は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わります。実際の手続きや申告の前に、法務局・市区町村・税務署などの窓口、または弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご確認ください。