
ご両親が残してくれた大切な実家。しかし、相続人があなた一人ではなく、ご兄弟やご姉妹がいらっしゃる場合、「この家を、どうやって公平に分ければいいんだろう?」という、非常にデリケートな問題に直面します。
お金のように簡単に割り算できない不動産だからこそ、親族間でのトラブルに発展しやすいのも事実です。大切なご家族との関係を壊さないためにも、どのような分け方があるのか、その選択肢を知っておくことがとても重要です。
ここでは、相続した不動産を円満に分けるための、代表的な3つの方法をご紹介します。
方法1:換価分割(かんかぶんかつ)
これが、最もトラブルが少なく、公平な分け方と言われています。
一言でいうと、「家を売却して現金に換え、その現金を相続人で分ける」という方法です。
メリット:
1円単位で公平に分割できるため、誰も不満を抱きにくい。
売却してしまえば、将来の家の管理や固定資産税の負担からも解放される。
デメリット:
思い出の詰まった実家が、物理的になくなってしまう。
誰かが家に住み続ける予定がないのであれば、この換価分割が最もシンプルで、後々のトラブルを防げる最善の方法と言えるでしょう。
方法2:代償分割(だいしょうぶんかつ)
これは、「相続人のうちの一人が家を相続する代わりに、他の相続人に対して、その人の取り分に相当する現金(代償金)を支払う」という方法です。
例えば、1,500万円の価値がある家を、兄弟2人で相続する場合。
兄が家を相続するなら、弟に対して、その半分の価値である750万円を現金で支払う、といった形です。
メリット:
家を売却せずに、誰かが住み続けることができる。
デメリット:
家を相続する人に、他の相続人へ支払うためのまとまった現金が必要になる。
方法3:現物分割(げんぶつぶんかつ)
これは、「家は兄が、預貯金は弟が」というように、遺産をそのままの形で分ける方法です。
メリット:
手続きが比較的シンプル。
デメリット:
家の価値と、他の遺産の価値がぴったり同じでないと、不公平感が生まれやすい。
家以外の遺産がほとんどない場合には、この方法は使えない。
【最重要】必ず「遺産分割協議書」を作成しましょう
どの方法で分けるにしても、相続人全員で話し合い、合意した内容を「遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)」という正式な書面に残すことが絶対に必要です。
この書類がないと、家の名義変更(相続登記)もできませんし、売却することもできません。「家族だから大丈夫」と口約束で済ませてしまうのが、後々のトラブルの最大の原因になります。
▶【次のアクション】
どの分け方を選ぶにしても、すべての話し合いのスタートラインとなるのは、「この家の価値は、今いくらなのか?」を全員が正確に知ることです。
まずは不動産会社に査定を依頼し、客観的な家の価値を把握しましょう。その査定額を基に、ご兄弟と「この家をどうするのが一番良いか」を冷静に話し合うことから始めてみてください。
当サイトは、不動産の専門家ではない一個人が、自身の「空き家売却」の体験を元に作成した情報発信サイトです。
かつての私自身がそうであったように、「何から手をつけていいか分からない」「専門用語が難しくて理解できない」といった、空き家売却初心者が抱えるであろう不安や疑問に、実体験を通して寄り添うことを目的としています。
ここでは、不動産会社のウェブサイトにあるような模範的な情報だけではなく、実際に私が経験した成功談、そして時間やお金を無駄にしてしまった失敗談、思わぬトラブル、後悔した点などを、個人の視点から正直に綴っています。
このリアルな体験談が、これから空き家売却に臨む方々にとって、少しでも道しるべとなり、後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。
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