
売却の話を進める前に、まずこれだけはお伝えしなければならない、とても大切なことがあります。それは、「とりあえず、そのままにしておこう」と問題を先延ばしにすることの、想像以上に大きなリスクです。
「管理も大変だし、考えることも多くて…」と、つい後回しにしたくなるお気持ちは、痛いほど分かります。しかし、空き家はあなたが何もしない間にも、静かに、しかし着実に状況を悪化させていくのです。具体的にどのようなリスクがあるのか、3つの側面に分けて詳しく見ていきましょう。
ちょっと待って!空き家をそのままにしておく3つの大きなリスク
「とりあえず、そのままにしておこう…」と、つい先延ばしにしてしまいがちな空き家の問題。ですが、その「とりあえず」が、後で大きな問題を引き起こす可能性があることをご存じですか?空き家を放置することには、主に3つの大きなリスクが潜んでいます。
空き家は、ただ「持っているだけ」で、あなたの資産を静かに蝕んでいきます。
まず、誰も住んでいなくても、毎年固定資産税と都市計画税の請求書が必ず届きます。これだけでも年間数万円から十数万円の出費です。それに加え、庭の草むしりを業者に頼む費用、最低限の水道光熱費、万が一のための火災保険料…。これらが毎年、確実にあなたの負担としてのしかかってきます。
さらに恐ろしいのが、管理されていない空き家が自治体から「特定空家」に指定されてしまうケースです。これは、「この家は危険、または景観を損なう」という行政からのイエローカードです。
指定されると、住宅用地の特例(税金が最大1/6に割引される制度)が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。例えば、今まで年間5万円だった税金が、ある日突然30万円になる、ということです。さらに、改善命令に従わない場合は、最大50万円の過料(罰金)が科されることもあります。
そして何より、放置された家は資産としての価値がどんどん下がっていきます。雨漏りやシロアリ被害で修繕に数百万円かかる状態になれば、売却価格からその費用が差し引かれるか、最悪の場合「価値ゼロ」と見なされてしまうことさえあるのです。「いつか売ろう」と思った時には、手遅れになっているかもしれません。
人の住まない家は、私たちが思う以上に早く朽ちていきます。
人が住んでいる家は、換気や掃除によって空気が入れ替わり、湿気がたまりにくい状態が保たれます。しかし、空き家は窓を閉め切ったままであることが多く、湿気が充満し、カビや腐食、シロアリ発生の温床となります。柱や土台が腐ってしまえば、家の耐久性は著しく低下します。
近年、日本各地で多発する大型台風や地震も大きな脅威です。老朽化した屋根瓦が飛んで隣家を傷つけたり、ブロック塀が倒れて通行人を危険に晒したり…。最悪の場合、家そのものが倒壊するリスクもゼロではありません。
人の出入りがない、荒れた家は、残念ながら犯罪者の格好のターゲットになります。ゴミの不法投棄から始まり、窓ガラスを割られて侵入されたり、放火されたりする事件も後を絶ちません。一度犯罪の標的になると、地域の治安全体を悪化させる原因にもなりかねません。
遠方に住んでいるあなたにとって、これが最も精神的な負担になるかもしれません。
伸び放題になった雑草や庭木は、見た目が悪いだけでなく、害虫(蚊やハチなど)や害獣(ネズミやハクビシンなど)の発生源となります。「お宅の庭から変な虫が大量発生している」といった苦情が、ある日突然あなたのもとに届くかもしれません。
もし、あなたの家の庭木の枝が隣の敷地に越境し、その枝が折れて隣家の車や屋根を傷つけてしまったら、どうなるでしょうか?その修理費用を支払う「損害賠償責任」は、100%、所有者であるあなたにあります。たとえ遠くに住んでいて知らなかったとしても、その責任から逃れることはできません。
「あそこの家、管理されなくて困るわね…」という評判は、あっという間に地域に広がります。いざ売却しようと思った時に、「あのトラブルのあった家」というレッテルが貼られてしまい、買い手が見つかりにくくなるという、売却活動そのものへの悪影響も考えられます。
このように、空き家を放置することは、百害あって一利なしです。これらのリスクを回避し、あなたの大切な資産を守るためにも、できるだけ早く具体的な行動を起こすことが何よりも重要なのです。
当サイトは、不動産の専門家ではない一個人が、自身の「空き家売却」の体験を元に作成した情報発信サイトです。
かつての私自身がそうであったように、「何から手をつけていいか分からない」「専門用語が難しくて理解できない」といった、空き家売却初心者が抱えるであろう不安や疑問に、実体験を通して寄り添うことを目的としています。
ここでは、不動産会社のウェブサイトにあるような模範的な情報だけではなく、実際に私が経験した成功談、そして時間やお金を無駄にしてしまった失敗談、思わぬトラブル、後悔した点などを、個人の視点から正直に綴っています。
このリアルな体験談が、これから空き家売却に臨む方々にとって、少しでも道しるべとなり、後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。
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