「家は住まないと傷む」は本当?空き家の約3軒に2軒に傷み。換気・通水・雨漏りチェックの頻度と方法

今回はお金ではなく、「家そのもの」の話です。

「家は人が住まないと傷む」。実家が空き家になったとき、親戚やご近所から一度は聞く言葉ではないでしょうか。でも、本当にそうなのか。どのくらいの頻度で、何をすれば傷みを抑えられるのか。はっきり答えられる人は多くありません

・空き家は実際どのくらい傷んでいるのか

・管理の頻度と傷みには、どんな関係があるのか

・換気・通水・雨漏りチェックは、いつ・何をすればいいのか

空き家の約3軒に2軒に「傷み」がある

国の調査で、所有者に空き家の状態を聞いた結果がこちらです。

データとしては三分の二に傷みがある

・構造上の不具合あり:19.6%

・全体的に腐朽・破損:3.0%

・部分的に腐朽・破損:43.2%

・傷みなし:34.1%

傷みがある空き家は合わせて65.8%。約3軒に2軒です。

「構造上の不具合」とは、屋根の変形や柱の傾き、雨漏りで天井裏がひどく腐っている状態などを指します。つまり、5軒に1軒はそのままでは住めないレベルの不具合を抱えています。

相続で受け継いだ空き家に限ると、傷みのある割合は7割を超えます。そして、空き家を貸したり売ったりするうえでの課題の1位は「住宅の傷み」(43.3%)でした。傷みは、住めるかどうかだけでなく、将来の選択肢の幅にも関わってきます。

なぜ住まないと傷むのか。答えは「気づくのが遅れる」から

国土交通省の資料では、長く使わない家は不具合が見つかりにくいため、傷みが早く進む傾向があると説明しています。

人が住んでいれば、天井のしみや水の流れの悪さに日々気づけます。空き家では、それに気づく人がいません。主な原因は次の3つです。

・湿気がこもる:窓も戸も閉めきりなので、湿気がたまりカビや木材の腐れにつながりやすくなります。

・水を流さない:排水口の奥には、下水の臭いや虫を止めるための水(封水)がたまっています。長く水を流さないと、この水が蒸発して切れてしまいます。

・雨漏りに気づかない:屋根や外壁の小さな破損から入った雨が、誰にも気づかれないまま天井裏や柱を傷めていきます。

「住まないと傷む」の正体は、家が勝手に弱るというより、小さな異変が放っておかれ、大きな傷みに育ってしまうこと。だからこそ、定期的に「見に行く」ことに意味があります。

管理が年に数回以下だと、構造の不具合が多い

では、管理の頻度で差はあるのでしょうか。同じ調査で、管理の頻度別に空き家の状態を比べると、はっきりした傾向が見えます。

月1回以上の管理で18%以下

「構造上の不具合あり」の割合は、

・ほぼ毎日:15.3%

・週に1〜数回:16.3%

・月に1〜数回:17.5%

・年に1〜数回:24.3%

・数年に1回:33.3%

月1回以上の管理では15〜18%におさまっていますが、年に数回になると24%、数年に1回では33%まで増えます。逆に「傷みなし」は、ほぼ毎日の40.5%から、数年に1回では13.3%まで減っています。

ただし、これは同じ時点で比べた「関連」です。もともと古くて傷んだ家ほど足が遠のく、ということもありえます。「月1回行けば傷まない」と言い切れるデータではありません。

それでも、月1回と年数回のあいだに差が出ていることは、ひとつの目安になります。実際、管理している人のうち月1回以上という人は約7割(70.8%)でした。

換気は7割。でも雨漏りチェックと通水は半数以下

次に、管理している人が実際に何をしているかを見てみます。

家の何を見ているか?

・外回りの清掃・草取り・剪定:79.5%

・戸締まりの確認:74.9%

・住宅の通風・換気:66.9%

・台風・地震などの後の見回り:49.3%

・傷み・雨漏りのチェック・修繕:48.3%

・水回りの点検・通水:43.3%

ご近所の目に入りやすい庭や外回りは8割が手入れをしています。一方で、傷みを早く見つけるための雨漏りチェックや通水は、半数に届いていません。

所有者が心配していることの1位は「住宅の腐朽・破損の進行」(75.7%)です。心配はしているのに、その発見につながる点検は後回しになりやすい。ここに、空き家管理の落とし穴があります。

目安は「月1回」+「災害のあと」

では、具体的にどうすればいいのか。国のチェックリストや自治体の案内をもとに、自分でできる管理をまとめました。

目安としてのチェック表

■月1回程度

・換気:窓を開けて風を通します。押入れや収納、戸棚も開けて空気を入れ替えます。

・通水:すべての蛇口、トイレ、排水口に水を流します。封水を補い、臭いや虫を防ぎます。

・点検:天井や壁の雨じみ、カビ、床のきしみ、窓・外壁・屋根の破損を見ます。スマホで同じ場所を毎回撮っておくと、変化に気づきやすくなります。

・戸締まり・郵便:施錠を確認し、たまった郵便物やチラシを片づけます。

■大雨・台風・地震・大雪のあと

屋根材や外壁、雨どいのはがれ、天井の新しいしみを確認します。

■冬(寒冷地)

給水管の元栓を閉めて凍結を防ぎます。積雪に応じて雪下ろしも必要です。

たとえば小樽市は、簡単な点検を「月一回程度」行い、大雪や台風、地震のあとは必ず点検するよう案内しています。また、下関市の管理補助では「月1回・1時間以上の換気」を補助の対象にしています。

遠くて通えない人ほど、早めに方法を決めておく

とはいえ、月1回は簡単ではありません。調査でも、管理の課題の1位は「管理の作業が大変」(31.7%)でした。

距離の影響も大きく、空き家まで徒歩圏内の人は8割が月1回以上管理しているのに対し、車や電車で3時間を超える人では約4割にとどまります。

通えない場合の選択肢は、たとえば次のようなものです。

・近くに住む親族に頼む

・町内会やご近所に連絡先を伝え、異変があれば知らせてもらう

・管理会社や不動産会社の巡回サービスを使う(費用はかかります)

そして、管理を続けることそのものを見直す、という選択肢もあります。

まずは「次に行く日」を決めることから

空き家をどうするかに、ひとつの正解はありません。住む予定がある、思い出の品がある、いまは決められない。どれも自然な事情です。

ただ、データが示しているのは、「決めずに時間が過ぎること」にも中身があるということです。傷みが進めば、貸す・売るときの最大の課題になります。調査では、管理の頻度が高い家ほど、1年のあいだに空き家でなくなった(売る・貸す・住むなどした)割合も高い傾向がありました(ほぼ毎日26.1%、数年に1回10.5%)。

今日できることは、次の4つです。

・次に空き家へ行く日をカレンダーに入れる

・行ったら「換気・通水・天井のしみ」の3つだけは必ず見る

・天井・外壁・水回りを写真に撮り、次回と見比べる

・月1回が難しければ、頼める人や管理サービスを家族で話し合う

通う負担が重いと感じたら、それは「この家をこれからどうするか」を考えるタイミングかもしれません。

__________

■出典

・国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント/報告書(2025年8月29日公表)

https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000233.html

・国土交通省 リーフレット「『自分は大丈夫!』と思っていませんか? 空き家には適切な管理が不可欠です。」(空き家管理チェックリスト)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002019879.pdf

・国土交通省 資料「所有する空き家は適切に管理を」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001753632.pdf

・小樽市 空き家に関する配布資料「管理について」

https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2023011900013/file_contents/06.pdf

・下関市「令和8年度 下関市空き家管理・流通促進支援事業」

https://www.city.shimonoseki.lg.jp/uploaded/attachment/95741.pdf

・東京都保健医療局 公開資料(排水トラップと封水)

https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/web_bunya5

※割合は「不詳」を除いて計算された値です。四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります。

※腐朽・破損の状態は、所有者の回答によるものです。「構造上の不具合」は、屋根の変形、壁や柱・床の傾き、雨漏りによる天井裏の著しい腐朽、土台や基礎の著しい腐朽などがある状態を指します。

※管理の頻度と傷みの関係は、同時点の調査による関連を示したもので、因果関係を示すものではありません。建築時期や立地などの影響も含まれます。

※管理の頻度・内容は、管理者がいる空き家についての集計です。

※管理の頻度の目安は自治体の案内をもとにしたもので、建物の状態や地域の気候によって適切な頻度は異なります。気になる傷みがある場合は、建築士や工務店などの専門家に相談してください。

※前回記事の維持費は試算値です。

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